道草通信|07 12/11までの日々のこと
これまでほぼ毎日のことを書いてきた日記ですが、あまりにもわたしの行動が筒抜けかしらと思うようになり。そんなときに武田百合子さんの『日日雑記』を読んでいたら、全部が”ある日”となっていて、わたしもそれに倣って”ある日”形式にしようかなと思いました。そんな感じで仕切り直しつつ、また何か気になったことがあったら、微調整しながら続けていこうと思っています。
ということで、今回は公開記事にしてみています。よかったら、読んでね!
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11月と12月のある日の日記
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五感にふれるもの 『静かな季節の訪れ』
11月のある日
日記を書くことから少し離れてしまってどんな風に日記を書いていたんだっけと、どこか遠い出来事に感じつつ再開。
あっという間に『水車小屋のネネ』を読み終えて寂しい。ストーブに乗せていたお鍋の水がなくなりかけているのを見つけた夫が「空っぽ!」と慌てたときに、ネネ!と嬉々としてわたしも「空っぽ!」と大きく声をあげる。
夜ごはんは夫が作ってくれた鶏とキノコの炊き込みご飯、お味噌汁をありがたく食べた。仕事から帰ってきてごはんがあるのは本当にうれしい。お味噌汁には卵を落としてくれた。
夫と辺りの山々が色づいてきたね、と話す。同じ風景をそれぞれに見ながら、こうして分かち合えることがうれしいなと思った。
11月のある日
朝はねこたちと寝坊。この辺りは8時、12時、17時とあちこちに設置してあるスピーカーから音楽が流れる。その音が鳴るまで…と便利に使っていて、今朝も”音が鳴るまで…”と思うも時間になっても寒くてごにょごにょと布団から出られない。
お休みは気がゆるむ、存分にゆるめるのがお休みだからいいのだけど、ダラダラするのももったいないと起き出す。
拾い物に行こうと思っていたら、急にお昼頃からお天気が急変して強い雨が降ったり止んだり、そんな場合じゃなかった。灯油を買いに出てかんたんに買い物を済ませるのみにしておく。本当に今年は妙なお天気の日が多く感じます。雷さまよ、とのんきに呼びかけている場合じゃない感じ。きっと雷さまもこの異変に頭をかかえているはず。
夜は豪勢に高知のカツオのたたき。
12月のある日
祖母が亡くなり実家へ帰る。99歳、大往生。お疲れ様でした。晩年色々あったけど、本人はどんな風に感じていたのだろう。どんな人生だった?と聞いてみたかった。いつもの親戚の面々が集う中に祖母がいない不思議。ばあちゃんは?と聞いてしまいそうだなと思う。
お通夜を終えて遅くに帰宅して父が録画していたNHKの日本百名山を見る。無性にほっとする。苗場の山々と高山植物たち、画面でも十分な癒し。
12月のある日
夕方に帰宅。まるちゃんとじーにゃんがワラワラとやってきて出迎えてくれる。久しぶりに会えてうれしい。夫が居たとはいえ留守の時間も長かったろうに、留守番をありがとうと伝える。
お土産に買ってきた博多のラーメンを分け合いっこして夜ごはんを簡単に済ませて早々にねこたちと布団に入る。
図書館で借りた星の本、冬の大三角についてを読むもあっという間に眠気に負けた。
自分用のお土産に買ってきた、なんばん往来。なつかしい味。
12月のある日
この日記のニュースレターについて考える。あまりにも毎日のこと、プライベートなことを公開しすぎだろうかと。日付をやめてみるだけでも違うかもしれない。百合子さんの日記は、すべて、"ある日"になっていた。わたしもそれに倣うか。
二人とも仕事だったので最寄駅で落ち合って、インドカレーを食べて帰宅。
帰宅してお茶を淹れ、わらび餅をいただく。職場の方にすすめられて購入した藤波のわらび餅、有名らしい。とろとろな食感でおいしかった。
COP28で日本はまた化石賞を取ったとニュースで見る。4回連続とのこと。原発を3倍にとの決定にも憤りを覚える。
12月のある日
12月とは思えないあたたかな週末。朝ごはんを済ませて夫と薪(にするための木)を取りにいく。
先日夫の口から「今年の薪が足りないかもしれない」というショックなお知らせが発表され、昨年ちょっとさぼりすぎたなと二人で反省したばかり。夫曰く「このままではキリギリスの運命、アリにならなければ」とのこと。馬車馬のように働かねば、といろんな生き物に例えつつ、要は今年はせっせと薪の確保に励まねばということ。
すぐ近くの山道を車を走らせていつもの場所へ向かう。明るい陽射しが降り注ぎ、とても気持ちがいい。どこか特別な場所へ行くのもいい、でも、いつもの日々にこんな空気があるのがいいと改めて思う。
わりといい感じの薪を確保し帰宅。お昼ごはんにおいなりさんを食べて休憩したら、もう一仕事。車から庭へ運び、長さをストーブにあわせて切りそろえたり割ったり。暑くて二人ともシャツ一枚。
そのうちにこんなにあたたかいのだから今日はBBQをしようと決まる。
夜はおそらく今季最後のBBQを楽しみ、「よく働いて、いいお休みだったね」と言い合った。楽しみを挟みつつ、薪仕事、がんばろう。
■五感にふれるもの 『静かな季節の訪れ』
先日のこと。用事を済ませた帰り道。あんまりお天気が良くて、あたたかくて、このまま帰ってしまうのもなぁとずっと気になっていた名所に寄ってみた。
きっと季節のいい時期にはトレッキングの人たちも多いのだろうけど、紅葉も終わりかけの時期、誰もいなかった。喧嘩をした天狗たちが投げ合ったと民話に書かれている、大きな岩がなだらかな山の斜面にゴロゴロとつづいている。その横に遊歩道が設置されて歩くことができるので、少し歩いてみることにした。
真っ青に高い空に雲が流れていく。あたりを見渡すと、もうすっかり葉を落とした木々が木立に混じりはじめていた。あたたかな日が多い今年の冬だけど、それでも森は着実に冬へと装いを変化させている。
その様子をじっくりと眺めながら、あぁわたしの好きな森の季節がやってくるとうれしく思った。
よく森へと通うようになって、知ったこと。冬の森の静けさの特別さ。他の季節でも静けさはあるのだけれど、冬の森の静けさは別格に感じる。水辺があれば冬鳥たちがその静けさを一層引き立てるように思う。時おり響く鳴き声に耳を澄ませ、その音が消えたあとの静寂を深く味わう。シルエットをあらわにした木々は、葉を茂らせているときより存在感を増し、でも無言でたたずんでいるかのよう。
そんな冬の森がわたしはとても好きだ。それに気づいたこともまた、森に通うようになって知ったことのひとつ。
次回は12月20日(水)に配信予定です。
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